(解説文中のプロンプトは、クリックするとコピーできます)
今回は、第二回でデザインしたプロンプトを、実際にChatGPTに入力して情報を収集します。上の図は、それぞれのステップで生成した情報が、どのようにその後のプロンプトに関係しているかを表しています。
- ChatGPTから得られた情報をどのように抽出するか
- 各ステップで生成した情報を、どのように後のプロンプトに関連付けているか
に注意しながら読んで下さい。
1. 健康サプリ業界の市場調査と競合分析
目的:健康サプリ業界の動向を知り、ターゲット商品(販売or開発する商品)を決める
まずは、健康サプリ業界の動向を理解するために、ChatGPTに以下の内容を聞きます。
- 関連キーワード
- 業界のトレンド
- 競合企業のウェブマーケティング戦術の分析
「関連キーワード」と「業界トレンド」を取得する理由は、どのような種類の健康サプリが流行っているのか、需要があるのかを調べ、販売する商品を決定するためです。ここで決定した商品は、この後の全てのステップのプロンプトに関連します。
競合企業のウェブマーケティング戦略は、ステップ#3-5で自社のマーケティング戦略を立てる時に参考にします。
プロンプト例
CatGPTの回答例
解説:
関連キーワードと、トレンド、競合企業、ウェブマーケティング戦略が表形式で生成されました。関連キーワードとトレンドから、ターゲット商品を決めることがこのステップの目標です。また、競合企業のウェブマーケティング戦略については、後ほど、自社のマーケティング戦略のヒントとして使います。
例えば、ここでは、「オーガニック」のキーワード、トレンドを参考に、ターゲット商品を「オーガニックダイエットサプリ」に設定してみたいと思います。
(実際は、ここでGoogleのキーワードプランナー等を使用して、上記キーワードのリアルタイムのトレンドを調べますが、ここでは省きます。)
ウェブマーケティング戦略については、サントリーが実施しているように、「SNSでの情報発信」が参考になりますね。この点については、後ほど、5. 広告戦略の立案、で解説します。
2. ターゲット顧客のニーズ・ペルソナ(人物像)の設定
目的:健康サプリ(ターゲット商品)を販売するターゲットのニーズ(悩み)・ペルソナを定義する
ここでは、#1のステップで決めた商品を売るターゲット顧客のニーズとペルソナを定義します。ペルソナとは、ターゲットにするお客さんの情報を詳しく設定したものです。例えば年齢や趣味など、どのような人物かを設定することで、ステップ#3-5で、どのようにお客さんにアプローチするか、のマーケティング戦略をより具体的に決めることができます。
このステップでは、2つのプロンプトを使用します。
1つ目のプロンプトでニーズを生成し、それをChatGPTに学習させて(Generated Knowledge)、2つ目のプロンプトでペルソナを設定します。
プロンプト例
ChatGPTの回答例
解説:
ステップ#1で決めたターゲット商品「オーガニックダイエットサプリ」を売るターゲット顧客のニーズを生成しました。
4種類のターゲット顧客と、それぞれの属性、ニーズ(悩み)が表形式で回答されました。この段階で、ターゲット顧客を1つに絞って、次のペルソナ(人物像)を設定してもよいのですが、ここでは、4種類のターゲット顧客それぞれについて、ペルソナを見てみたいと思います。
プロンプト例
ChatGPTの回答例
解説:
前の質問でリストアップした4種類のターゲット顧客に対して、それぞれのペルソナが提案されています。
(”Regenerate Response”というボタンをクリックすれば、他のパターンも生成することができます)
この中から、今回のマーケティング戦略でターゲットにするペルソナを決めます。ここでは、「健康志向のサラリーマン」をターゲットにしたいと思います。
3. キーワードの設定とWebサイト設計
目的:ペルソナをターゲットにした、Webサイトを設計する
ステップ#2で定義したペルソナ(ターゲット顧客の人物像)を対象に、Google検索で表示されやすい(商品を売るための)Webサイトを設計します。ウェブマーケティングでSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)と呼ばれている方法です。
プロンプト例
ChatGPTの回答例
解説:
このステップでは、まず、ステップ#2で決めたターゲット顧客・ペルソナがGoogleで検索しそうなキーワードを取得します。
前のステップで、ターゲット顧客を「健康志向のサラリーマン」に決めましたので、まずは、プロンプトの文頭に、ターゲット顧客の属性、ニーズ、ペルソナをコピー&ペーストします。さらに、「上記で特定した」という文言をプロンプトに加えることで、指定したターゲット顧客・ペルソナを対象にした回答を得ることができます。
ここでは、「健康志向のサラリーマン」が、Google検索しそうなキーワードを取得しています。これらのキーワードは、この後のWebサイトの設計ステップで使用されます。
このデモでは、「オーガニックダイエットサプリ」「天然の原料を使用したダイエットサプリ」「自然療法に基づくダイエットサプリ」を選びます。(つまり、ペルソナがこれらのキーワードで検索した時に、検索ランキング上位で表示されやすいWebサイトを設計します。)
プロンプト例
ChatGPTの回答例
解説:
まずは、3つのキーワードをコピー&ペーストします。その後に、「上記のキーワードに関連した」という文言を含めることで、それらのキーワードに関連したタイトルタグやメタディスクリプション(Google検索したときに表示される各ページのタイトルと概要文)等を生成します。
また、オンページSEOや内部リンク、画像の最適化方法を参考にしてWebサイトを設計します。
4. コンテンツアイデア・公開プランの作成
目的:ターゲット顧客を惹き付けるコンテンツのアイデアを取得し、公開プランを作成する
このステップでは、ステップ#1で決めたターゲット商品に関連したコンテンツを、ステップ#2で設定したターゲット顧客に向けて発信するプランを生成します。
1つ目のプロンプトでは、ターゲット商品に関するコンテンツアイデアを取得します。
2つ目のプロンプトでは、そのアイデアを元に、コンテンツの公開プランを生成します。
プロンプト例
ChatGPTの回答例
解説:
ターゲット顧客に商品(オーガニックダイエットサプリ)を購入してもらうためには、ターゲット顧客のニーズ(悩み)に応えるコンテンツが充実していなければなりません。
そこで、ChatGPTに、オーガニックダイエットサプリに関係するコンテンツのアイデアを生成してもらいます。これらのコンテンツの中に、オーガニックダイエットサプリの宣伝を埋め込むことで、ターゲット顧客を購入ページに誘導することができます。
コンテンツの内容が充実しているほど、訪れたターゲット顧客が商品を購入する確率が高くなります。
次のプロンプトでは、これらのコンテンツを公開する計画(コンテンツカレンダー)を生成します。
プロンプト例
ChatGPTの回答例
解説:
前のステップで生成したコンテンツの各アイデアの、公開プランを生成します。このプランに沿って、コンテンツを公開することで、継続的にターゲット顧客を惹き付けることが目的です。
コンテンツの内容についても、ChatGPTのプロンプトワークフローを用いることで、充実した内容を生成することが可能です。(別のトピックになりますので、ここでは割愛します)
5. 広告戦略の立案
目的:ターゲット商品を宣伝するための広告戦略を練る
このステップでは、ステップ#1で決めたターゲット商品を宣伝するための広告戦略(使用する広告チャネル、広告宣伝文、デザイン)を生成します。
1つ目のプロンプトでは、広告チャネルとターゲティング方法のリストを取得し、使用する広告チャネルを決定します。
2つ目のプロンプトでは、決定した広告チャネルにおいて、宣伝文と広告デザインのアイデアを取得します。
プロンプト例
ChatGPTの回答例
解説:
作成したWebサイトの広告戦略を決めます。ステップ#1~#4でWebサイトを構築しましたが、いくらWebサイトが充実していても、ターゲット顧客が訪問してくれないことには、何も売れません。
ウェブマーケティングのSEOと呼ばれる設計方法に沿ってWebサイトを構築すれば、徐々に訪問数が増えていきますが、たくさんのターゲット顧客に訪問してもらうには、時間がかかります。(Google検索で上位表示されるまで、一般的には数ヶ月以上かかります。)
ですので、ここでは、有料の広告媒体を使って、短い間に(数日~数週間以内に)ターゲット顧客を集める方法を取得します。
[ ]にステップ#1で決めた商品「オーガニックダイエットサプリ」を入力して、広告チャネルとターゲティング方法のリストを取得します。
今回のデモでは、Facebook広告、Google広告、Instagram広告、Youtube広告がリストアップされました。みなさんも、これらのプラットフォームで表示される広告には馴染みがあるのではないでしょうか?
ステップ#1で取得した競合企業のマーケティング戦略では、Instagramを使っているということでしたので、ここでは競合と同じ媒体は避けて、Facebook広告を選びたいと思います。
ターゲティング方法、というのは、各媒体でどのようなユーザーをターゲットに広告を表示させるか、というアイデアです。今回の例では、ステップ#2で決めたペルソナに沿ってターゲティングを行います。(多くの広告媒体では、ユーザーの年齢や性別、興味の内容に基づいて、特定のユーザーにだけ自社の広告を表示させることが可能です。)
次のプロンプトでは、ここで決めた広告チャネルのための、広告コピー(宣伝文)やデザインのアイデアを取得します。
プロンプト例
ChatGPTの回答例
解説:
[広告チャネル] に 「Facebook広告」を、[ターゲット商品] に「オーガニックダイエットサプリ」を入力して、広告コピーとデザインアイデアを取得します。
この例では、3パターンの広告コピーとデザインが提案されました。(3パターンになったのは、例で示した表中に3パターン表示しているためと思われます。)
これらの広告コピー案、デザイン案を参考に、Facebook広告のプラットフォームで広告をデザインすると良いでしょう。
6. マーケティング活動の評価
目的:マーケティングの効果を評価するための指標を定義する
マーケティング戦略は立案して終わり、ではありません。もちろんその戦略を実行して、常に改善することが求められます。このステップでは、#1-#5で立案したマーケティング戦略を実行して、その効果を評価するための指標を定義します。
プロンプト例
ChatGPTの回答朗
解説:
ステップ#1~#5で作成したオーガニックダイエットサプリマーケティング戦略の効果を測定するためのパフォーマンス指標のアイデアを取得します。
実際にマーケティングを実行する際は、これらの指標を記録しておいて、マーケティング戦略の見直し、改善を繰り返します。
『ChatGPTで情報を得る』のまとめ
以上で、『ChatGPTで情報を得る』ステップは完了です。
各ステップで得られた情報を、どのように学習させ、その後のプロンプトに利用するか、その感覚をつかんでください。
次回は、得られた情報を検証し、必要に応じてプロンプトを調整し、最後にまとめて完成です。